1. はじめに
近年、企業が利益を追求するだけでなく、社会的な価値や使命(パーパス)を明確にして活動する「パーパス経営」が注目されています。この背景には、企業に対して利益を超えた社会的な意義が求められているという環境変化があり、社員や顧客が企業の存在意義を重視するようになっている点が挙げられます。SDGs(持続可能な開発目標)やESG(環境・社会・ガバナンス)投資の重要性が増す中で、企業がどのように社会に貢献できるかが経営における重要な課題となっています。
2. パーパス経営とは
2-1.パーパス経営の定義と意義
パーパス経営とは、企業が社会の一員としての役割を認識し、自社の存在意義を明確にして経営するスタイルです。単に利益を追求するのではなく、企業が長期的に社会に貢献することを目的とし、これが企業の成長や持続可能性にもつながるとされています。パーパス経営は、社員のモチベーションを高め、顧客や投資家との信頼関係を強化することができます。また、企業文化の一部としてパーパスが浸透することで、社員のエンゲージメントや顧客満足度の向上といった具体的な効果も生まれます。
2-2. 近年のトレンドと背景
パーパス経営が注目される背景には、いくつかの要因があります。まず、消費者や社員が企業の社会的責任や持続可能性に注目するようになったことです。また、ESG投資が急速に拡大し、企業が環境や社会に対して責任ある行動を取ることが投資家からも求められています。こうした流れの中で、企業が単に製品やサービスを提供するだけでなく、社会にどのような価値を提供するのかを明確にする必要性が増しています。
3. パーパスの見つけ方
パーパスは企業の強みと社会的ニーズの重なり合う部分に存在すると言われます。そのため、まず自社の強みを理解し、それが社会にどのように役立つかを考えることが必要です。また、社員やステークホルダーの意見を取り入れ、企業の価値観やビジョンに沿ったものにすることも重要です。このような探求を通じて、自社独自のパーパスを明確にすることができます。
3-1. パーパスの探求プロセス
パーパスを定義するには、社内外でのディスカッションが欠かせません。例えば、社員とのワークショップやヒアリングを通じて、多様な視点を取り入れることで、企業が何を目指すべきかを深く考えることができます。さらに、外部のステークホルダーからのフィードバックも重要であり、それを元にパーパスを練り直し、具体的な方向性を定めていきます。
3-2. 定義のポイントと方法論
パーパスは具体的である一方で、抽象性も備えていることが理想です。具体的すぎると限られた活動しか示せず、抽象的すぎると現実の活動に落とし込みにくくなるからです。パーパスを見つける手法としては、サイモン・シネックの「ゴールデンサークル」理論(Why, How, What)などが有効です。この理論では、「なぜその企業が存在するのか」という根本的な問いから始め、パーパスを探るプロセスを進めます。
4.パーパス経営の実践
パーパス経営を実践するためには、企業活動全体を通じてパーパスを反映させることが重要です。例えば、製品開発やサービス提供の過程で、環境や社会に対する影響を考慮し、パーパスを具体的な形で表現することが求められます。パーパスに基づいた事業を行うことで、企業は持続可能で社会的に有益な存在となることができます。
4-1. 戦略と文化の統合
パーパスを戦略と企業文化に統合することで、社員の行動規範にパーパスが反映され、企業全体で一貫性のある行動が可能になります。例えば、パーパスが社内で共通の価値観として認識されることで、社員が自発的にその方向へ行動を取るようになります。組織全体でパーパスが共有されると、強固な企業文化が醸成されます。
4-2. 社員への浸透とエンゲージメント
パーパスを社員に浸透させるためには、ワークショップや研修などを活用し、日々の業務でパーパスを意識できるようにすることが大切です。社員がパーパスに共感し、それを実現するための行動をとることができるようになると、エンゲージメントも向上し、企業の活力が生まれます。こうした取り組みが社員のモチベーション向上にもつながり、組織全体のパフォーマンスが高まる効果も期待されます。
5. パーパス経営が成功した企業の紹介
①パタゴニア
地球が私たちの唯一の株主というコピーを掲げる企業で、最も責任感の強い企業とされるアウトドアウェアメーカー。「パタゴニアは、我が故郷地球を救うためにビジネスを行う」をパーパスに掲げ、環境保護に尽力しており、その姿勢から多くのファンを集めています。
②ネスレ日本
世界最大の食品飲料メーカーであるネスレの日本法人は「食の持つ力で、現在そしてこれからの世代のすべての人々の生活の質を高めていきます」をパーパスに掲げています。環境を守ること、そして人やペットの生活を守ることに尽力。その結果し、ステークホルダーに大きな価値をもたらすことを目標としています。
6.パーパス経営の未来と展望
今後もパーパス経営は、多くの企業で重視されると予測されます。特に、気候変動や社会的不平等といった課題への関心が高まる中で、企業がこれらの問題解決に向けてどのように貢献できるかが問われ続けるでしょう。将来的には、パーパス経営がスタンダードとなり、持続可能なビジネスがさらに発展していくと考えられます。
7.レベルゼロの企業ブランディング
言語化だけで終わらない、実際の「行動」を生み出すブランディング
レベルゼロでは、会社のコアとなるパーパス・MVVの策定、理念浸透のためのインナーブランディングまで幅広くお手伝いしています。
パーパスといった理念の策定方法は、主に会社の各部門の代表者やリーダーなどを集めたワークショップ形式で進めることが多いのが特徴です。最終的な言語化は弊社のディレクターやコピーライターが担当しますが、フレームワークを使用した分析、キーワードなどの案出しまで、すべてのフェーズで社員の想いを抽出しながら進めます。
その中でわたしたちがこだわるのは、実行性。社員を巻き込みながら理念(パーパス、ミッション、ビジョン、バリュー)に基づいた実行戦略であるストラテジーやアクションプラン(KGI・KPI)を策定し、企業成長や売上アップにつながるブランディングを心がけています。
〈 レベルゼロの企業ブランディングとは?〉
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