1.はじめに
企業が上場を目指す際、Mission(ミッション)、Vision(ビジョン)、Values(バリュー)(MVV)は、経営方針を明確に示すうえで欠かせない要素です。MVVは、企業の存在意義や将来の姿、行動規範をまとめたもので、企業の信頼性や価値を高めるための基盤となります。ここでは、上場準備を進める際のMVVの重要性や、具体的な活用法について解説します。
2.上場におけるMVVの重要性
上場企業としての信頼を築くためには、企業の使命や価値観をはっきりと定義し、明確なビジョンを示すことが求められます。MVVは、ステークホルダーに企業の方針を伝え、ブランディングや企業文化の形成を支える重要な要素です。上場後は投資家や顧客、社員など多くの人が企業の価値を判断する基準として、MVVが企業の方向性や持続可能性を示す指針となります。
3.作成と活用の全体像
MVVの策定と活用には、まず企業の根本的な価値観や長期目標を見つめ直すプロセスが必要です。Missionは企業が存在する意義、Visionは将来的な目標、Valuesは日々の行動指針を表します。これらを明確に定義し、全社員に共有することで、組織として一貫したメッセージを発信しやすくなり、上場後の持続的な成長を支えます。
3-1.MVVの作り方
(1)Mission, Vision, Valuesの定義と設定プロセス
- Missionは「なぜその事業を行うのか」、Visionは「どのような企業を目指すのか」、Valuesは「どう行動するべきか」を定義します。
- まずは経営陣が核となって企業の根幹的な価値観を見つめ直し、長期的な視点で将来のビジョンを構築します。その後、社員を巻き込み、意見を反映しながら全体での合意を得るプロセスを経て策定します。
- また、策定時には市場動向や競合のMVVも参考にし、差別化要素や独自の強みを反映させます。
(2)社内外のステークホルダーとの連携
MVVは社内外のステークホルダーに共有し、彼らの意見や視点を反映させることで、より一貫性のあるビジョンが構築されます。社員やパートナー企業、投資家などの意見を取り入れることで、MVVが実際のビジネスシーンでも共有され浸透していきます。
3-2.MVVの活用方法
(1)経営戦略とMVVの統合
MVVは単なる理念にとどまらず、日々の経営戦略や意思決定に統合されるべきものです。MVVを元にした意思決定の基準を明確にすることで、経営陣や社員全員が一貫した判断基準を持つことができ、企業全体のベクトルが統一されます。
(2)上場準備におけるMVVの役割
上場準備の過程では、株主や投資家に対して企業のビジョンを示す場面が増えます。MVVが明確に設定されていることで、株主や投資家に自社の成長戦略や社会的価値を伝えることができ、信頼性を高められます。また、上場後もこのMVVが社内の行動基準として機能し、組織の一体感を維持するのに役立ちます。
4.成功事例
4-1.上場企業のMVV活用事例
成功している上場企業の中には、MVVを核にしたブランディング戦略や社内文化を築き上げている企業が数多くあります。たとえば、企業のビジョンに基づいた事業ポートフォリオを形成し、MVVに沿った形で新規事業を進めている企業もあります。また、社員の行動基準としてValuesを明確に示すことで、全社での一致団結を図る例も見られます。
例:
①トヨタ自動車
- Mission: 幸せを量産する
- Vision: 可動体(モビリティ)を社会の可能性に変える
- Values: トヨタウェイ、ソフトとハードを融合し、パートナーとともに「トヨタウェイ」という唯一無二の価値を生み出す。
- 背景と成功事例: 世界最大級の自動車メーカーとして、電動化や自動運転技術の開発によりモビリティの未来をリードしています。
- 出展:トヨタフィロソフィー | 経営理念 | 企業情報 | トヨタ自動車株式会社 公式企業サイト (global.toyota)
②リクルート
- Mission: まだ、ここにない出会い。より速く、シンプルに、もっと近くに。
- Vision: Follow Your Heart
- Values:新しい価値の創造、個の尊重、社会への貢献
- 背景と成功事例: 求人情報やライフスタイル支援など、個人と企業のマッチングを多岐にわたるプラットフォームを通じて支援し、迅速でシンプルなサービス提供により、業界のリーダーとして成功を収めています。
- 出典:ビジョン・ミッション・バリューズ | About | リクルートホールディングス (recruit-holdings.com)
MVVは上場を目指す企業にとって、戦略的に重要な要素です。単なる理念として掲げるのではなく、経営の根幹に統合することで、株主や投資家に信頼される企業へと成長を遂げることができます。今後もMVVを活用し、上場後の持続的な成長に向けて企業の価値を発揮し続けることが期待されます。
5.レベルゼロのブランディング
言語化だけで終わらない、実際の「行動」を生み出すブランディング
レベルゼロでは、MVV制定からその先までご一緒に伴走いたしています。顧客との信頼関係の構築・差別化の要因の明確化・持続可能な成長基盤の構築など多くのメリットがあるMVVやパーパスの設定を行っています。
会社内や社会の課題をご一緒に分析し、会社の強みを明確に。社内外のステークホルダーを動かすための明確な指針を作り、MVV制定につなげます。既存事業に捉われない自社の社会的大義を設定し、価値観に共鳴する協力者や自社の社員をを動かす宣言文としてパーパスを設定します。
〈 レベルゼロの企業ブランディングとは?〉
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