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パーパス経営の参考企業 10選|理念を採用・組織づくりに活かすポイント

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はじめに

近年、企業ブランディングにおいて「パーパス」という言葉を耳にする機会が増えています。
パーパスとは、簡単に言えば「企業の存在意義」のことです。

  • 自社は何のために存在しているのか。
  • 社会にどのような価値を届けたいのか。
  • 社員は何を信じて働くのか。

そうした企業の根本にある考え方を言語化したものが、パーパスです。
一方で、パーパスを掲げたものの、社員に伝わらない、採用に活かせない、きれいごとで終わってしまうという悩みを持つ企業も少なくありません。パーパスは、ただ美しい言葉をつくれば良いものではありません。採用、組織づくり、商品開発、営業活動、社内コミュニケーションなど、日々の判断や行動につながってこそ意味があります。

この記事では、パーパス経営の参考になる企業10選を紹介しながら、理念を採用・組織づくりに活かすためのポイントを解説します。

1. パーパス経営とは

パーパス経営とは、企業の存在意義を起点に、経営や事業、組織づくりを進めていく考え方です。
これまでの企業経営では、売り上げや利益、事業の成長が中心に語られることが多くありました。もちろん、企業が継続するために利益は欠かせません。しかし、変化の激しい時代においては、「何をしている会社か」だけでなく、「なぜその事業を行っているのか」が問われるようになっています。

特に採用においては、給与や待遇だけでは他社との差別化が難しくなっています。学生や求職者は、仕事内容だけでなく、企業の価値観や社会的意義、自分がその会社で働く意味を重視するようになっています。だからこそ、パーパスは企業ブランディングだけでなく、採用ブランディングやインナーブランディングにおいても重要な役割を持ちます。

2. パーパスとMVVの違い

パーパスと混同されやすい言葉に、「ミッション・ビジョン・バリュー」、いわゆるMVVがあります。
以下のように整理すると、それぞれの役割が見えやすくなります。

  • パーパスは「なぜ存在するのか」
  • ミッションは「何を果たすのか」
  • ビジョンは「どこを目指すのか」
  • バリューは「どのような価値観で行動するのか」

たとえば、パーパスが企業の根っこだとすれば、ミッションは幹、ビジョンは目指す景色、バリューは日々の行動の基準です。重要なのは、これらをバラバラにつくらないことです。パーパスとMVVがつながっていないと、社員は「結局、何を大切にすれば良いのか」が分からなくなります。採用活動でも、発信するメッセージに一貫性がなくなり、求職者に本来の魅力が伝わりにくくなります。

3. パーパス経営の参考企業10選

(1) ソニーグループ

ソニーグループは、「クリエイティビティとテクノロジーの力で、世界を感動で満たす」ことをパーパスとして掲げています。
ソニーのパーパスは、事業領域の広さと相性が良い点が特徴です。音楽、映画、ゲーム、エレクトロニクス、金融など、多様な事業を展開しながらも、「感動」という共通軸で企業全体の方向性を示しています。
採用や組織づくりにおいても、仕事内容や事業内容だけでなく、「自分の仕事がどのように人の心を動かすのか」を伝えやすくなります。

出典:Sony’s Purpose & Values|ソニーグループポータル

(2) パナソニックグループ

パナソニックグループは、グループ共通のパーパスとして「物と心が共に豊かな理想の社会の実現」を掲げ、そのパーパスを表す言葉として「幸せの、チカラに。」を発表しています。
パナソニックグループの参考ポイントは、変化する世界の中でも、お客様に寄り添い、持続可能な「幸せ」を生み出す力であり続けたいという存在意義を示している点です。幅広い事業を展開しながらも、お客様一人ひとりの期待を超える商品やサービスを提供し、暮らしや社会へのお役立ちを果たす姿勢を明確にしています。
このように、自社の幅広い事業を社会に届けたい価値と結びつけることで、採用や組織づくりにおいても、仕事内容や製品だけでなく、「自分の仕事がどのように人々の幸せにつながるのか」が伝わりやすくなります。

出典:パナソニックグループの存在意義(パーパス)を表すブランドスローガン「幸せの、チカラに。」を発表|パナソニックグループ

(3) 富士通

富士通は、イノベーションによって社会に信頼をもたらし、世界をより持続可能にしていくことをパーパスに掲げています。
富士通の特徴は、パーパスだけでなく、大切にする価値観や行動規範まで体系化している点です。パーパスを掲げるだけでなく、社員一人ひとりがどのように行動すべきかまで示しているため、組織への浸透が進みやすくなります。
このように、パーパスを起点に価値観や行動規範まで整理している例は、社員への理念浸透を考えるうえで参考になります。

出典:全社員の行動の原理原則 Fujitsu Way|富士通

(4) TOPPANグループ

TOPPANグループは、グループパーパスとして「Breathing life into culture, with technology and heart./人を想う感性と心に響く技術で、多様な文化が息づく世界に。」を掲げています。
TOPPANグループの参考ポイントは、自社の技術力だけでなく、人を想う感性や文化への貢献まで含めて存在意義を表現している点です。印刷を起点に、情報コミュニケーション、生活・産業、エレクトロニクスなど幅広い領域へ事業を広げながらも、「技術」と「心」を通じて社会や文化を支えるという共通軸を示しています。
パーパスを考えるうえでは、自社の事業領域を単なる機能や技術だけで捉えず、その先にある人々の体験や文化への影響まで広げて考えることが重要です。

出典:グループパーパス|TOPPANグループ

(5) 花王

花王は、パーパスとして「豊かな共生世界の実現」を掲げています。人と社会、地球の「きれい」に貢献し、すべてのいのちが調和する、こころ豊かな未来を目指している点が特徴です。
花王の参考ポイントは、パーパスが生活者の日常にとどまらず、社会や地球環境まで視野に入れていることです。洗剤、化粧品、衛生用品など、日々の暮らしに近い商品を扱いながらも、その先にある「人と社会、地球のきれい」まで価値を広げています。
パーパスは、抽象的すぎると浸透しません。一方で、目の前の商品やサービスだけに閉じてしまうと、企業としての大きな存在意義が伝わりにくくなります。花王のように、日常の具体的な商品体験と、社会に向けた大きな価値を接続することで、社員や顧客にとって実感しやすいものになります。

出典:花王|花王のパーパスと価値創造

(6) ライオン

ライオンは、パーパスとして「より良い習慣づくりで、人々の毎日に貢献する(ReDesign)」を掲げています。
ライオンの特徴は、自社の商品やサービスと「習慣」という言葉が強く結びついている点です。歯みがき、手洗い、洗濯、掃除など、生活者の毎日の行動をより良い習慣へと変えていくことを、自社の存在意義として表現しています。
自社の商品やサービスが顧客の日常にどのような前向きな変化を生み出しているのかを掘り下げることが大切です。

出典:企業理念|ライオン株式会社

(7) ロッテ

ロッテは、パーパスとして「独創的なアイデアとこころ動かす体験で人と人をつなぎ、しあわせな未来をつくる」ことを掲げています。
ロッテの参考ポイントは、商品そのものだけでなく、人の心を動かす体験や、人と人のつながりまで価値を広げている点です。菓子やアイス、食品など、日常の中で手に取られる商品を通じて、楽しさや驚き、しあわせな時間を生み出すことを自社の存在意義として表現しています。
採用や組織づくりにおいても、仕事内容や商品開発だけでなく、「自分の仕事がどのように人の心を動かし、しあわせな未来につながるのか」を伝えやすくなります。

出典:企業理念|ロッテ

(8) 味の素グループ

味の素グループは、アミノサイエンス®を通じて、人・社会・地球のWell-beingに貢献することを掲げています。
特徴的なのは、自社ならではの技術や強みと、社会への貢献が結びついている点です。単に「健康に貢献する」だけではなく、「アミノサイエンス」という独自性を起点にしているため、企業らしさが伝わりやすくなっています。
自社のパーパスを言語化するうえでも、「社会的に意義があること」だけでなく、「自社だからこそできること」と接続することが大切です。

出典:Our philosophy|グループ企業情報|味の素グループ

(9) キリンホールディングス

キリングループは、CSV経営を軸に、社会課題の解決と企業成長を両立させる考え方を打ち出しています。
キリングループの参考ポイントは、パーパスを事業戦略と結びつけている点です。健康、コミュニティ、環境などのテーマを掲げながら、企業としての成長とも接続させています。
パーパスは、社会貢献のメッセージだけにとどまると、経営から切り離されてしまいます。事業の強みや収益構造とつなげることで、継続的な取り組みになります。

出典:CSVパーパス|キリンホールディングス株式会社

(10) ネスレ日本

ネスレ日本は、「食と飲料の持つ力で、現在そしてこれからの世代のすべての人々の生活の質を高めていきます」というパーパスを掲げています。
ネスレ日本の特徴は、「食と飲料」という身近な領域を、人々の生活の質や未来世代への貢献にまで広げて捉えている点です。食品や飲料を提供するだけでなく、健康、栄養、環境、暮らしの豊かさといったテーマと自社の事業を結びつけています。
自社の商品やサービスが、顧客の暮らしだけでなく、未来世代や社会全体にどのような価値をもたらすのかまで視野を広げることが重要です。

出典:ネスレのパーパスと価値観|ネスレ日本 企業サイト

4. パーパスを採用ブランディングに活かすポイント

パーパスは、採用活動において「なぜこの会社で働くのか」を伝える軸になります。
特に中小企業や知名度の高くない企業では、条件面や会社規模だけで大手企業と比較されると不利になりがちです。しかし、自社ならではの存在意義や働く意味を伝えることができれば、共感してくれる人材との接点をつくることができます。

採用ブランディングに活かすためには、以下のような視点が重要です。

4-1. 学生や求職者に伝わる言葉にする

経営者や社員には伝わる言葉でも、外部の人には伝わらないことがあります。
専門用語や抽象的な表現だけでなく、学生や求職者が「自分の仕事として想像できる言葉」に変換することが大切です。

4-2. 社員のエピソードと結びつける

パーパスは、社員のリアルな行動やエピソードと結びつくことで説得力が増します。
たとえば、社員インタビューで「どんなときに会社の理念を感じたか」「仕事のどこに誇りを感じるか」を聞くことで、パーパスが具体的なストーリーになります。

4-3. 採用サイトや説明会に一貫して反映する

パーパスをつくっても、採用サイト、パンフレット、説明会、面接でバラバラのメッセージを発信していては意味がありません。
採用コンセプト、社員インタビュー、トップメッセージ、説明会スライド、面接官の話す内容まで、一貫したブランド体験として設計することが重要です。

5. パーパスが社員に伝わらない理由

パーパスを掲げても、社員に浸透しない企業には共通点があります。

5-1. 言葉がきれいすぎて、自分ごとにならない

抽象的で美しい言葉だけでは、社員は日々の業務と結びつけることができません。
「それは自分の仕事とどう関係するのか」が分からなければ、パーパスはポスターやWebサイトの中だけの言葉になってしまいます。

5-2. 経営層だけでつくっている

パーパスは経営の意思を示すものですが、社員の実感と離れすぎていると浸透しません。
現場の声や会社らしいエピソードを拾い上げながら言語化することで、社員が納得しやすい言葉になります。

5-3. 行動に落とし込まれていない

パーパスは、日々の判断や行動に使われてこそ意味があります。
評価制度、会議、1on1、採用基準、社内表彰など、具体的な仕組みと結びつけることで、少しずつ組織に根づいていきます。

6. 中小企業がパーパスをつくるための5つのステップ

ステップ1:創業の想いを掘り起こす

まずは、なぜこの会社が生まれたのかを振り返ります。
創業者の想い、これまで大切にしてきた判断、顧客に喜ばれてきた理由を整理しましょう。

ステップ2:自社らしい強みを言語化する

次に、自社ならではの強みを整理します。
技術、対応力、社風、顧客との関係性、地域性など、他社と比べて自然に続けてきたことの中に、自社らしさが隠れています。

ステップ3:社会や顧客への提供価値を考える

自社の商品やサービスが、誰のどんな課題を解決しているのかを考えます。
単なる機能や品質だけでなく、その先にある安心、便利さ、豊かさ、誇り、前向きな変化まで掘り下げることで、パーパスにつながる提供価値が見えてきます。

ステップ4:社員が語れる言葉にする

パーパスは、経営者だけが語る言葉ではありません。社員が自分の言葉で語れるかどうかが、浸透の大きなポイントです。
難しい言葉よりも、「自分たちは何のために働いているのか」が直感的に伝わる表現を目指しましょう。

ステップ5:採用・組織づくりに展開する

最後に、パーパスを採用サイト、説明会、社員研修、評価制度、社内コミュニケーションに展開します。
つくって終わりではなく、使いながら育てていくことが重要です。

7. パーパス経営で失敗しないための注意点

パーパス経営が「意味ない」と言われてしまう原因は、言葉と実態が離れていることにあります。
立派なパーパスを掲げていても、社員が大切にされていない、顧客への姿勢と矛盾している、経営判断に反映されていない場合、むしろ不信感につながります。

パーパスをつくる際は、以下の3つに注意しましょう。

  • 1つ目は、自社らしさから離れないこと。
    • 流行の言葉や他社の真似ではなく、自社の歴史や強みに根ざした言葉にする必要があります。
  • 2つ目は、現場の行動に落とし込むこと。
    • 社員が日々の仕事で使えないパーパスは、浸透しません。
  • 3つ目は、採用や広報だけで終わらせないこと。
    • パーパスは外に見せるための言葉であると同時に、社内の判断軸でもあります。

まとめ

パーパス経営とは、企業の存在意義を起点に、採用、組織づくり、事業活動を一貫させていく考え方です。

今回紹介した企業に共通しているのは、パーパスが単なるスローガンではなく、事業や社員の行動と結びついていることです。パーパスは、きれいな言葉をつくることが目的ではありません。自社が何を大切にしているのかを明確にし、社員が自分の仕事に誇りを持ち、求職者が「この会社で働きたい」と感じる状態をつくることが目的です。

特に中小企業にとって、パーパスは大企業との差別化につながる大切なブランド資産になります。知名度や条件だけでは伝わらない「自社らしさ」を言語化し、採用や組織づくりに活かすことで、共感してくれる人材と出会いやすくなります。

レベルゼロの企業ブランディング

レベルゼロは、企業理念やパーパスを起点に、採用ブランディング、インナーブランディング、Webサイト制作、パンフレット制作、社員研修などを一貫して支援しています。

私たちが大切にしているのは、ただ言葉を整えることではありません。企業の歴史、経営者の想い、社員のリアルな声、顧客から選ばれている理由を丁寧に掘り下げ、その会社らしいブランドの軸を見つけることです。そして、その軸を採用サイト、会社案内、説明会、社員インタビュー、社内ワークショップなどに展開し、社内外に伝わる形へと設計します。

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