この記事の目次
はじめに

人材育成や組織づくりの一環として、多くの企業で研修が実施されています。新入社員研修、管理職研修、営業研修、理念浸透研修、ハラスメント研修など、研修のテーマはさまざまです。
一方で、研修を企画する際に多くの担当者が悩むのが、「パッケージ研修にするべきか、オーダーメイド研修にするべきか」という点ではないでしょうか。
パッケージ研修は、あらかじめ用意されたカリキュラムを活用できるため、導入しやすく、一定の品質で実施しやすいというメリットがあります。
一方、オーダーメイド研修は、自社の課題や受講者の状況に合わせて設計できるため、現場に即した学びや行動変容につなげやすいのが特徴です。どちらが優れている、という話ではありません。
大切なのは、研修の目的に合わせて、適切な形式を選ぶことです。
この記事では、パッケージ研修とオーダーメイド研修の違い、それぞれのメリット・デメリット、そして自社に合った研修を選ぶための考え方を解説します。
1. パッケージ研修とオーダーメイド研修の違い

パッケージ研修とオーダーメイド研修の違いは、以下のように整理できます。
【パッケージ研修】
内容:既存カリキュラムを活用
向いているテーマ:基礎知識・汎用スキル
導入しやすさ:高い
コスト:比較的抑えやすい
【オーダーメイド研修】
内容:企業ごとの課題に合わせて設計
向いているテーマ:組織課題・行動変容・自社らしさ
導入しやすさ:設計期間が必要
コスト:比較的高くなりやすい
パッケージ研修は、ビジネスマナーやPCスキル、法改正への対応など、「正解」がある程度決まっているテーマに向いています。
一方で、オーダーメイド研修は、管理職研修や理念浸透、課題解決など、「自社の課題や現場理解」が必要なテーマに向いています。つまり、選び方のポイントはシンプルです。
👉 共通の知識を効率よく学びたいなら、パッケージ研修。
👉 自社の課題を解決し、行動を変えたいなら、オーダーメイド研修。
このように考えると、研修形式を選びやすくなります。
2. パッケージ研修とは?
パッケージ研修とは、研修会社があらかじめ用意している既存のカリキュラムを活用して実施する研修です。
たとえば、以下のようなテーマはパッケージ研修として提供されていることが多いです。
- ビジネスマナー研修
- コンプライアンス研修
- ハラスメント研修
- ロジカルシンキング研修
- PCスキル研修
- 新入社員向け基礎研修
- 管理職向け基礎研修
これらは、多くの企業で共通して必要とされる知識やスキルです。そのため、一定の型に沿って学ぶことで、効率よく基礎を身につけることができます。
特に新入社員研修では、ビジネスマナーやコミュニケーションの基本など、企業ごとの差が出にくい内容も多く、パッケージ型の研修が活用されやすい傾向があります。新入社員研修は、社会人としての基本を抜け漏れなく、一定の品質で実施することが求められます。
【パッケージ研修のメリット】
パッケージ研修の大きなメリットは、導入しやすいことです。
すでにカリキュラムが用意されているため、研修設計にかかる時間を抑えることができます。また、過去の実施実績があるプログラムであれば、内容や進行の品質も安定しやすくなります。
人事担当者や教育担当者にとっては、年度末・年度初めなど忙しい時期でも進めやすく、比較的短期間で実施できる点も魅力です。
【パッケージ研修のデメリット】
一方で、パッケージ研修には限界もあります。汎用的な内容である分、どうしても「自社の実情」との距離が生まれやすくなります。たとえば、一般的なビジネスマナーを学んだとしても、実際の現場で求められる判断や動き方まで身につくとは限りません。
パッケージ型研修だけでは、自社特有の仕事の進め方、現場が新人に求める振る舞い方、事業の背景や顧客との向き合い方などは扱いきれないこともあります。
つまり、パッケージ研修は知識や基礎スキルの習得には向いているものの、現場での実践や自社らしい行動変容までを目指す場合には不足が出やすいのです。
3. オーダーメイド研修とは?
オーダーメイド研修とは、企業ごとの課題や目的、受講者の状況に合わせて、内容を個別に設計する研修です。
たとえば、以下のようなテーマでは、オーダーメイド研修が効果を発揮しやすくなります。
- 理念浸透研修
- 管理職向けマネジメント研修
- 面接官トレーニング
- 営業力強化研修
- 部門別MVV策定ワークショップ
- 組織風土改革研修
- 若手社員の主体性向上研修
- 現場課題を題材にしたワークショップ
これらのテーマは、単に一般論を学ぶだけでは十分ではありません。
「自社では何が課題なのか」
「受講者はどのような状態なのか」
「どのような行動に変わってほしいのか」
「現場でどんな言葉や事例を使えば、自分ごと化できるのか」
こうした要素を踏まえて設計することで、研修の効果は大きく変わります。だからこそ、オーダーメイド研修では、自社の課題や風土を丁寧に整理することが重要になります。
【オーダーメイド研修のメリット】
オーダーメイド研修の最大のメリットは、自社の課題や状況に合わせて内容を設計できる点です。
たとえば、管理職研修であれば、一般的なマネジメント理論を学ぶだけでなく、実際に社内で起きている部下育成の悩みや、評価面談でのつまずき、部署間連携の課題などを題材にできます。
新入社員研修であれば、自社でよくある業務シーンや顧客対応、配属後につまずきやすい場面をロールプレイに組み込むこともできます。現場に近いケースを演習に取り入れることで、研修と実務のギャップを小さくできます。
このように、オーダーメイド研修では、参加者が「これは自分たちの話だ」と感じやすくなります。その結果、研修が単なる学習で終わらず、現場での行動変容につながりやすくなります。
【オーダーメイド研修のデメリット】
一方で、オーダーメイド研修には、時間とコストがかかります。課題のヒアリング、対象者の整理、カリキュラム設計、ワーク内容の作成、事前アンケート、研修後の振り返りなど、実施までに必要な工程が多くなるためです。そのため、あらかじめ用意されたカリキュラムを活用するパッケージ研修と比べると、費用は高くなりやすい傾向があります。
また、研修担当者側にも一定の準備負荷がかかります。受講者の状況を共有したり、社内課題を整理したり、研修会社と打ち合わせを重ねたりする必要があるためです。ただし、裏を返せば、その準備工程そのものが、自社の課題を見つめ直す機会にもなります。
4. カスタマイズ研修という選択肢
実際には、パッケージ研修とオーダーメイド研修の間に、カスタマイズ研修という考え方もあります。
既存の研修プログラムをベースにしながら、受講者の年次や役職、実施形式、ワーク内容、事例、時間配分などを調整する方法です。
たとえば、以下のような調整が考えられます。
- 若手向けの内容を中堅社員向けに変更する
- 講義中心からグループワーク中心に変える
- 自社の事例をケーススタディに組み込む
- 半日研修を複数回に分けて実施する
- オンラインと対面を組み合わせる
- 研修後の振り返りシートや1on1と連動させる
完全なオーダーメイド研修ほど時間や費用をかけずに、自社らしさを加えられる点がカスタマイズ研修の魅力です。実績のあるカリキュラムをベースにしながら、事前アンケートや自社事例、事後フォローなどを組み合わせることで、既存プログラムの安定感と、自社に合った実践性を両立できます。
5. 研修で大切なのは「実施すること」ではなく、「変化が起きること」

研修を企画するとき、つい「どのテーマを実施するか」「どの講師に依頼するか」「何時間で行うか」といった実施面に意識が向きがちです。もちろん、それらも大切です。しかし、本当に重要なのは、研修後に参加者の考え方や行動が変わることです。どれだけ満足度の高い研修でも、翌日から何も変わらなければ、組織にとって大きな成果にはなりません。
研修で学んだことが現場で実践され、仕事の進め方や行動の変化につながることを「研修転移」と呼びます。研修の失敗は、当日の満足度が低いことだけではなく、この研修転移が起きないことにもあります。研修は、受けて終わりではありません。学んだことを現場に持ち帰り、実践し、振り返り、定着させていくことで、はじめて組織の変化につながります。
だからこそ、研修を考える際には、当日のプログラムだけでなく、以下のような前後の設計も重要になります。
- 事前に課題や期待を整理する
- 受講者に目的を共有する
- 研修内で現場に近いテーマを扱う
- 研修後に行動目標を設定する
- 上司との1on1や振り返りにつなげる
- 数週間後、数か月後にフォローアップする
特に、理念浸透や管理職育成、組織風土改革のようなテーマでは、1回の研修ですべてを変えることは難しいものです。研修を「イベント」として考えるのではなく、組織変化のプロセスの一部として設計することが大切です。
6. どちらを選ぶべきか?判断のポイント

パッケージ研修とオーダーメイド研修を選ぶ際には、以下の問いから考えると整理しやすくなります。
6-1. 学ばせたいのは「一般知識」か「自社らしい行動」か
一般的な知識や基礎スキルを学ぶのであれば、パッケージ研修でも十分な場合があります。
一方で、自社の理念、現場の課題、顧客との向き合い方、管理職としての振る舞いなど、自社ならではの要素が強い場合は、オーダーメイドやカスタマイズが向いています。
6-2. 研修後にどんな行動を期待するか
「理解してほしい」のか、「明日から実践してほしい」のか、「組織の空気を変えてほしい」のか。期待する成果によって、研修の設計は変わります。
知識習得が目的 👉 パッケージ研修
行動変容が目的 👉 オーダーメイド研修
このように目的から逆算することが重要です。
6-3. 受講者の課題は明確か
受講者の課題が明確でない場合、いきなり研修テーマを決めるのではなく、ヒアリングやアンケートから始めることも有効です。
オーダーメイド研修では、課題抽出からカリキュラム設計、研修後の振り返りまで伴走できるため、課題が整理しきれていない企業にも適しています。
6-4. 研修後の定着まで設計できているか
研修は、当日だけで完結しません。特に行動変容を目指す場合は、研修後のフォローが重要です。
振り返り、上司との対話、実践課題、フォローアップ研修などを組み合わせることで、学びが現場に定着しやすくなります。
まとめ
パッケージ研修とオーダーメイド研修には、それぞれ役割があります。
パッケージ研修は、汎用的な知識や基礎スキルを効率よく学ぶのに向いています。導入しやすく、品質も安定しやすいため、新入社員研修やコンプライアンス研修などには適しています。
一方、オーダーメイド研修は、自社の課題や文化、受講者の状態に合わせて設計できるため、現場での実践や行動変容につなげやすいのが特徴です。理念浸透、管理職育成、採用面接力向上、組織風土改革など、自社の文脈が重要なテーマでは特に効果を発揮します。大切なのは、どちらか一方を正解とすることではありません。
「何を学ばせたいのか」ではなく、「研修後にどんな行動変化を起こしたいのか」から考えること。それが、自社に合った研修を選ぶための第一歩です。
レベルゼロが考える研修設計
レベルゼロでは、研修を単なる知識提供ではなく、人や組織の変化を生み出す場として捉えています。たとえば、理念浸透研修であれば、理念を覚えることがゴールではありません。参加者が自分の言葉で理念を語り、日々の判断や行動に落とし込めるようになることが重要です。
面接官研修であれば、面接の進め方を学ぶだけでは不十分です。候補者一人ひとりに対して、自社の魅力をどう伝え、どう関係性をつくるかまで設計する必要があります。管理職研修であれば、マネジメント理論を学ぶだけではなく、実際の部下育成や組織課題に向き合い、自分の言葉でチームを動かせるようになることが求められます。
研修は、ただ実施すればよいものではありません。企業の目的、組織の課題、参加者の状態に合わせて設計することで、はじめて「変化のきっかけ」になります。
レベルゼロは、ブランディングや組織づくりの視点から、企業ごとの課題に合わせた研修・ワークショップ設計を支援しています。
知識を入れる研修から、行動が変わる研修へ。
一方通行の講義から、自分ごと化するワークショップへ。
自社らしい人材育成や組織づくりを進めたい企業にとって、研修は大きな可能性を持つ施策のひとつです。
〈 レベルゼロの研修設計(組織活性)とは?〉
https://levelzero.co.jp/service/organizational-activation/
〈 レベルゼロの研修制作事例〉
「株式会社デンソー 研修設計・インターンシップ開発」
▶ https://levelzero.co.jp/work/denso/
「株式会社東海理化 社員活躍推進プロジェクト」
▶ https://levelzero.co.jp/work/tokairika/
「株式会社イノアックコーポレーション インターンシップ」
▶ https://levelzero.co.jp/work/inoac/